【ケアラー向け】成年後見制度を利用するべきかどうかについて解説します
これまで、成年後見制度のメリット・デメリットや費用などについて解説してきました。
これらの状況を鑑みて、成年後見制度は果たして利用すべきかどうか、について解説します
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成年後見制度が利用される背景
成年後見制度とは、これまで解説してきたとおり、主に財産を管理する法律的な支援が中心となり、不動産や多額のお金を持っている方の保護に役立つ制度という側面が強い制度です。もちろん多くの財産がなくても、預貯金の引き出しなどで後見人が必要な場面も現実的にはあります。金融機関によっては柔軟に対応してくれる場合もありますし、なにより毎月約3万円前後の報酬が発生してしまうことが大きな負担になります。
日常生活の関与はしない
後見人に弁護士や司法書士が選ばれる場合には、介護や日常生活の支援は直接的には関与してくれませんので、後見人がいるからといって、ご家族のケアに伴う肉体的、時間的な負担を軽減してくれる訳でありません。そのため、緊急性はほとんどないと言っていいでしょう。
どんな時に利用するの?
実際に、成年後見制度の利用をしている方々も、判断能力が全くない家族がいるから成年後見制度を利用をしようとしたのではなく、不動産の売却をするためにやむを得ず申立てを行うというケースが多いのが実態です。
つまり、ご本人に判断能力がないからといって速やかに成年後見制度の申立てをしなければならないという義務はありません。
この制度は、不動産の売却といった特定の事情が発生した場合に必要となる制度であり、後見人に支払う報酬の負担も大きく、途中でやめることができない制度ですので、申立てを行う場合には、早急に決定せずに、まずは専門家に相談して成年後見制度を利用しなければならないのかどうかを慎重に判断して頂きたいと思います。
まとめ
成年後見制度は、ご自身で判断をすることができない家族を守り支えるために役立つ制度です。必要な法律手続の内容によっては、専門家に相談することを避けて通れない場面があることも確かですが、費用の支払いや継続する必要があることなど注意すべき点もあります。
ケアラーとして、家族を支えるための一つの選択肢として、この制度についてそれぞれの家庭事情によって利用するべきか否かを判断するために、基本的な内容を知っておくと役立つかもしれません。
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執筆者
株式会社コナトゥスマネジメント
代表 平原孝之
シニアライフカウンセラー
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